名義変更に必要な書類
自動車の名義変更を行うために必要な書類は、自動車販売業者や名義変更の手続きを代行してくれる業者に依頼するのか、それとも自分で名義変更を行うかによって必要な書類の種類は違います。
また、場合によっては必要な書類が追加されるケースもありますので、名義変更を行う際にはその点にも注意が必要です。ここでは名義変更の際にどんな書類が必要なのか、そして各書類のがどのような性質を持つのかについてご説明させていただきます。
自動車販売業者や手続代行業者に名義変更手続きを
依頼する場合
以下の7つの書類が、自動車販売業者や手続代行業者に依頼して名義変更を行う際に必要な書類になります。
自分で名義変更を行う場合
以下の10の書類が、自分で自動車の名義変更を行う際に必要な書類です。
追加で書類が必要になるケース
名義変更の行い方によっては追加書類が必要になる場合があります。以下のものが主に追加書類が必要になるケースです。
新使用者と新所有者を違う名義で登録する際に必要な書類
なお、新使用者の方が名義変更の申請を行う場合は、申請時に新使用者の認印を持っていけば委任状を用意しなくても申請可能です。
車検証の旧所有者と印鑑証明書の住所や氏名が違う場合
新旧の所有者の中に未成年者が居る場合
以下の3種類の書類が追加で必要になります。
未成年者の戸籍謄本
新所有者の印鑑証明書
両親の実印(印鑑証明書と同じもの)を押した
同意書
所有者が亡くなり相続によって名義変更を行う場合
以下の2種類の書類が追加で必要になります。
亡くなった旧所有者の
戸籍謄本
遺産分割協議書
名義変更に必要となる各書類の説明
自動車の名義変更を行うためには、場合によって複数の書類が必要になります。
手続きに必要である各書類についての項目をよく読み、知識を深めていきましょう。
また、基本的に名義変更で使用する書類は黒色のボールペンなどで記入し、インターネットで様式をダウンロードできるタイプの書類は感熱紙などを使用しないようにしてください。(記載した内容が熱で消える可能性があるため)
車検証について
車検証は正式名称を自動車検証と言い、車検時に自動車保安基準を満たしているであることに加えて、その自動車の所有者や使用者が誰なのか、など詳細な情報が記載された証明書です。この車検証が交付されるのは車検対象車ですので、一般的な自動車だけでなく250ccの排気量の自動二輪にも交付がなされます。
名義変更を行う際にも車検証の情報を元に申請の手続きが行われるのですが、その際に車検証に記載されている所有者と使用者がそれぞれ別の名前で登録されていれば、名義変更の申請の時に所有者と使用者の両方の委任状や住民票などの書類が必要になります。また、車検を車検証に記載されている期限までに行っていない場合は、車検を行ってからでなければ手続きを行うことができませんので注意が必要です。
この車検証は自動車に常に乗せておかなければなりません。大切な書類ではありますが、自宅など自動車以外の場所での保管はしないようにしましょう。そして車検証を常に自動車に乗せておくのと同時に、車のフロントグラスに車検有効期間が記載されている検査標章を貼っておくことも法律によって定められています。
車庫証明書について
車を保管する場所を証明する書類、それが車庫証明書です。名義変更の際に車庫証明書を入手するためには、まず車庫証明書の交付申請をしなければなりません。
車庫証明書の申請・交付先は、自分が自動車を保管しようとしている地区を管轄している警察署になります。自動車の名義変更を業者に依頼して行う場合、車庫証明申請まで包括して行ってくれる場合が多いですので、車庫証明書申請まで代行を希望する場合は依頼する業者にお問い合わせください。
車庫証明書交付の申請には、幾つかの書類を用意するとともに、
一定の条件を満たしておく必要があります。
上記のいずれかの条件が満たされていない場合、車庫証明書の交付はできませんので注意が必要です。
上記の条件を満たしていることが確認できれば、管轄の警察署へ行き車庫証明申請書を手に入れましょう。警察署によっては、ホームページで申請書の交付をしている場合もありますので、まずは所轄の警察署のホームページを検索や電話での問い合わせをお勧めします。
車庫証明申請時に必要となる書類は
- 自分が所有している土地や建物で自動車を保管する場合
- 月極駐車場など他者が所有する場所で自動車を保管する場合
では違ってきます。
両者に共通して必要になる書類
自動車保管場所
証明申請書
保管場所標章
交付申請書
自動車の保管場所の
所在図・配置図
※車両のみを変更する場合、自動車保管場所証明申請書に以前使用していた自動車の保管場所標章番号を記載することで所在図は不要になる
-
この車庫証明申請関係書類に記入した文字に誤りがあり、その文字を訂正する場合は申請者の訂正印の押印が必要です。(保管場所使用承諾証明書の場合は、その保管場所を所有している人かその場所の管理を委託された者の訂正印が必要)
また、車庫証明書は交付されてから概ね1ヶ月で無効になりますので、名義変更などの各種手続きは早めに行うようにしておきましょう。 - 車庫証明書申請にかかる費用は多少の地域差がありますが、申請時は約2,100円程度、交付時には500円程度の費用がかかります。
- 車庫証明は車の保管場所を証明する書類であるため、同じ住所地であっても車を保管する場所が変われば申請を行わなければなりません。しかし、そのようなケースの申請は車庫証明申請ではなく「保管場所届」の手続きになります
譲渡証明書について
自動車を誰が誰に譲渡したかを証明する書類、それが譲渡証明書です。譲渡証明書は自動車の情報と、旧所有者や新所有者の氏名・押印を記載するだけのシンプルな書類ですが、どのような様式でも良いわけではないので決められた様式のものを使用して下さい。
譲渡証明書は自動車の譲渡による所有者の変更を証明する書類ですので、自動車の所有者と使用者が別人の場合でも使用者の方はこの書類を記載する必要はありません。
譲渡証明書には押印の欄がありますが、この欄に押す印鑑は名義変更申請時に同時に提出する印鑑証明と同じ印鑑を押さなければなりません。それに、旧所有者の印鑑証明書に登録されている現住所と車検証に記載されている住所が異なる場合、現住所に至るまでの居住地が分かる住民票が必要になります。また、この譲渡証明書に記載した内容に誤字などがあっても、訂正印として認められるのが旧所有者の捨印のみですので誤字には注意をしておいてください。
委任状について
委任状は何かの申請や行政手続きを他者に行ってもらう場合に必要となる書類です。
委任状で手続きの代行してもらう人を指定すればその人が代理人となります。
本来、名義変更の手続きは当事者の本人が行うものですが、事情によりどうしても手続きが行えない場合はこの委任状を使い、手続きを代行してもらいましょう。
- 委任者の押印は印鑑証明に登録している実印(場合によっては認印可)でなければなりません。
- 委任状の申請名の欄には行いたい手続きの正式名称を記載しなければなりません。名義変更手続きの場合、正式には「移転登録」という手続きの名称になりますのでそれを記載するようにしましょう。
- 誤字があった場合の訂正が認められるのは委任者の捨印のみです。修正液などで訂正することは認められていませんので、誤字には注意しておきましょう。
印鑑証明書について
契約や手続きを行う際には、必ずと言っていいほど印鑑を使用するものです。認印の押印のみでも構わない書類であればシャチハタなどの適当な印鑑を使用しても大丈夫ですが、自動車の名義変更手続きの場合は非常に重要な手続きですから実印を押印する必要があります。その名義変更の際に使用する印鑑が実印であることを証明してくれるのが印鑑証明書です。
印鑑証明書を発行するためには、まず実印を登録しておかなければなりません。印鑑の登録は自宅や事業所を管轄している市町村役場の窓口で行ってもらえますので、印鑑と身分のわかる書類を持参して登録を行いましょう。登録の費用は市町村によって多少の差がありますが、大体500円くらいです。
また、発行された印鑑証明書が効力を持つ期限は発行日から数えて3ヶ月ですので、名義変更の手続きを行う場合は印鑑証明書の期限が切れないように注意して行いましょう。
手数料納付書について
自動車の名義変更など手数料が必要となる手続きを行う場合は、手数料に相当する額の収入印紙を用意し、それを手続きの際に他の書類と一緒に提出しなければなりません。その収入印紙を貼り付けるための書類が手数料納付書です。この手数料納付書は自動車新規登録検査を行う際の手数料を支払う際にも使用できます。
手数料納付書は自動車の名義変更を行う窓口である運輸支局などで手に入れることができますので、収入印紙のみ用意しておき、手数料納付書への記載は申請窓口に行った当日でも大丈夫です。また、名義変更手続きを代行業者に依頼する場合や行政書士などに代書を依頼する場合は、手数料納付書の記述もまとめて代行してくれますので、個人で用意する必要はありません。
この手数料納付書は他の書類と違い、誤字や記載間違いがあれば修正液などで訂正が可能です。
自動車税・自動車取得税申告書について
自動車の名義変更を行ったり新たに取得をすると、自動車税や自動車取得税という税金がかかってきます。そのため自動車の名義変更や新規取得をする際には、所轄の税務署への申告を行わなければなりません。その自動車税・自動車取得税の申告を行うための書式が自動車税・自動車取得税申告書です。
自動車税・自動車取得税申告書を入手場所は、所轄の運輸支局に付属している税事務所になります。この書類への記入は名義変更手続き当日の記入でも大丈夫です。また、手続きを代行業者などに依頼している場合は自動車税・自動車取得税申告書も包括して用意してくれますので、自分で用意する必要はありません。
自動車税・自動車取得税申告書へ記入する内容は新旧所有者・使用者の氏名や車検証の内容、自動車の登録番号などになります。その他の事項の記載については、税事務所の窓口に記載例の見本がありますので、それを参考にしながら行ってください。仮に誤字があれば税務窓口で訂正印を押印してもらうか、新しい申請用紙に記載し直しましょう。
名義変更によって自動車を新たに取得した人は、自動車取得税を納付しなければなりません。しかし、自動車を取得してから一ヶ月以内に返品するようなケースならば、自動車税・自動車取得税申告書を提出した税事務所へとその旨を伝えると自動車の入手時に納付した税金を返還してもらうことが可能です。
申請書について
名義変更を行った際、手続きの最後に新しい車検証を発行する必要があります。その車検証を発行するための書類が申請書です。申請書は個人で手続きを行う場合のみ用意する書類です。申請書は名義変更手続きを行う運輸支局の窓口で入手することができます。
この用紙はOCRというコンピューターで記載内容を読み取るマークシート形式の特殊な用紙ですので、他の申請書類とは違い100円ほどの費用がかかります。(申請書の費用は所轄の運輸支局により多少違うことがあります。)
申請書は先述したようにマークシート様式ですので、メインとなる記載部分のピンク枠内は鉛筆で記入するようにします。そしてその他の部分については、ボールペンで記載してください。記載する内容は車検証の内容に加えて、新しく自動車を所有または使用する人の氏名住所などになります。この申請書は代理人が申請を行う場合であっても、申請者として代理人の氏名と住所を記載しなければなりませんのでご注意ください。
住民票について
自動車の名義変更をする際、場合によっては自動車の新旧所有者や新旧使用者の住所を証明することが求められます。そのような手続きの際に住所を証明するための書類が住民票です。
住民票は現住所を証明するための書類ですが、車検証に記載されている旧所有者の住所が旧所有者の印鑑証明に登録されている住所と違っており、なおかつ複数回によって転居している場合は現住所までに至るまでの経緯が分かる住民票(除票)が必要になります。仮に諸事情で現住所に至るまでの経緯が分かる住民票が用意できない場合は、住所変更の経緯が記載された戸籍謄本の附票を発行しましょう。
住民票の有効期限は発行をしてから3ヶ月以内となっていますので、期限切れにならないよう注意して手続きを行ってください。また、住所が変わったり自動車の名義変更を行った場合は道路運送車両法によって15日以内という期限内に所定の手続きを行わなければなりませんので、その点についても意識しておきましょう。
戸籍謄本について
個人の出生から死亡、婚姻歴、血縁関係、居住地などの情報が記載された公文書が戸籍です。そして戸籍の内容全てが記載されているものが戸籍謄本と呼ばれています。自動車の名義変更で戸籍に記載されている内容を証明が必要な手続きを踏む場合(車検証に記載されている氏名を変更する、相続による名義変更、廃車など)、戸籍謄本を使用してその証明を行います。また、結婚や離婚により氏名が変わった場合、両親や配偶者の自動車を譲渡する際にも戸籍謄本を用いた名義変更の手続きが必要です。
戸籍謄本の有効期限は発行日から3ヶ月ですが、氏名などを変更した場合その情報が変更された戸籍謄本でなければ無効になりますので、たとえ有効期限内であっても最新の情報が記載された戸籍謄本を用意するようにしましょう。相続などで自動車の名義変更を行う場合は、相続人すべての関係が分かる戸籍謄本が必要ですので、注意しておきましょう。なお、相続を行う場合は複雑な手続きを踏まなければならないケースもありますので、所轄の運輸支局や法律の専門家などに相談しておくことも大切です。
同意書について
基本的に20歳未満の未成年者は、契約行為など法的効力を伴う行為を行うことができません。しかし、未成年者の同意により、両親などの保護者が法的効力を伴う行為を行うことが可能になります。このように、同意書は未成年者が保護者に法律行為を代わって行う場合、未成年者がそのことについて同意したことを証明する書類が同意書です。自動車の名義変更も重要な法的な行為ですので、新旧所有者・使用者に未成年者が含まれる場合、同意書の提出が求められます。
同意書を作成する際、親権者の印鑑を押印する部分に印鑑証明書に登録したものと同じ印鑑が押されていることが必要です。もし別の印鑑が押されている場合は、同意書の効力が無くなります。誤字があった場合も、二重線や修正液で訂正したものも無効になりますので注意しておきましょう。その他重要な事項としては、同意書には未成年者の戸籍謄本と親権者(両親であればどちらか一方)の印鑑証明を添付しなければならないので忘れないようにしてください。
遺産分割協議書について
亡くなった被相続人に相続人が複数居る場合、遺産分割協議を行って遺産をどのような割合で分けるかを話し合わなければなりません。その遺産分割協議の結果、遺産を各相続人に対してどのように分配・相続するかを証明する書類が遺産分割協議書です。亡くなった被相続人が自動車を所有している場合、その自動車の名義変更は相続と同じ扱いを受けますので、名義変更手続きの際に遺産分割協議書が必要になります。
遺産分割協議書は相続人全員の協議が無事に終了していることの証明でありますから、その書類の相続人の印欄には相続人全員の実印が押印されていなければなりません。相続人が大人数いるなど、遺産分割協議書を一枚物の書類にできない場合は各相続人が遺産分割協議書を作成し、それをまとめて提出するのでも大丈夫です。
遺産相続は非常に繊細な問題でもありますので、相続による名義変更について不明点も多々出てくる可能性があります。そのような時は所轄の運輸支局へ問い合わせを行ってください。